2022年7月29日より公開の「女神の継承」の原案者であり、過去作品でも、数々の賞を受賞しているナ・ホンジン監督。
巷では評価の高い女神の継承ですが、正直私にはあまりハマらず…。
登場する巫女のモデルが、過去作品「哭声(コクソン)」から来ているということで、少しでも理解したくて観てみることにしました。
「んんん?おもろいぞ?おもろいではないか。」
これはドはまり案件で一気に他の作品「チェイサー」「哀しき獣」まで鑑賞しました。
全て見た上で共通して魅力を感じる部分があるのですが、それが、一切容赦のない悪役と、善とされる側に芽生える狂気なんですよね。悪役は本当に狂ってるし、まともだったはずの善とされる側もプツンと糸が切れて目がいっちゃってるう。その2人のやり合いが、痛くもあり、苦しくもあり、快感でもあり…
その描き方や役者の演技がとことん上手い。何を観る側が気持ち悪い!と不快感を抱くのか、お見通しだぜって感じです。観終わった後はどの作品も胸がチクりと痛みます。
もう1つが、映画内で「ここはこういう理由でこうなんですよ」という真実がはっきりとしておらず、観る側の想像力にお任せします!みたいなところがあるんですよね。頭が良くない私は、必死に考察して、結論分からず解説を読み漁るという楽しみ方をしておりましたが、結局はその人の受けとり方次第という所に行き着きます。そういう面で、何回も見直して自分なりの考察を極めたくなりますw
それでは、ちょっとした感想も含めてまとめていきます!
※内容についてお話していますので、話の内容を一切知りたくない!という方は、ここまででお願いします。すみません。
チェイサー
原題 | 추격자(追撃者) |
映倫区分 | R-15指定 |
上映(日本) | 2009年/125分 |
音楽 | キム・ジョンソク チェ・ヨンナク |
撮影 | イ・ソンジェ |
出演 | キム・ユンソク ハ・ジョンウ ソ・ヨンヒ |
評価 | Rotten Tomatoes 82% Filmarks 3.9/(5.0) 個人的 4.2/(5.0) |
ナ・ホンジン監督の長編作品1作目で、大鐘賞(韓国アカデミー賞)で最優秀作品賞、監督賞、その他数々の賞を受賞している作品です。
2004年、韓国で実際に起きた「ユ・ヨンチョル連続殺人事件」と「イラク人質殺人事件」をベースに作られた作品で、監禁された被害者の恐怖や絶望感、そして世間から忘れ去られていく虚しさ、それらへの気持ちが込められているそうです。
元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)が経営している風俗店から、女たちが次々失踪します。その犯人は、客のヨンミン(ハ・ジョンウ)という男で、あっけなく捕まって自白します「はい、僕が殺しましたよ?何か?」という感じで、めっちゃ冷静に半笑いで認める。はい、異常者きたー!っていう顔です。

ですが犯行現場も分からず、死体も見つからない。証拠が何も出ないまま釈放の時間が刻々とせまってきます。
犯人の言うことに振り回され、後手後手に回る警察のせいで、助かるもんも助からん!!状態に陥ります。そこでジュンホは1人でガンガン犯人を攻めていきます。
犯人の殺害の動機は明白にされておらず、殺害の方法は監禁の末、頭をノミとトンカチで一撃。理由は「苦しくないようにだよ。豚の屠殺を参考にしたんだ」と言っていました。私の予想では、死体愛好家(殺戮に至る病の犯人みたいな、死体に興奮する変態)なのかな?と思いましたが、違うのかな?
証拠が見つからないまま、犯人は釈放されてしまいます。結末は、やはり中々辛いものになっています。チクリと胸に刺さるものがあります。
また、この映画、韓国ではR-18指定でしたが、決定的なシーンはモノクロ加工することで、日本ではR-15指定にとどまっているようです。
哀しき獣
原題 | 황해(黄海) |
映倫区分 | R-15指定 |
上映(日本) | 2012/140分 |
音楽 | チャン・ヨンギュ イ・ビョンフン |
撮影 | イ・ソンジェ |
出演 | ハ・ジョンウ キム・ユンソク チョ・ソンハ |
評価 | Rotten Tomatoes 88% Filmarks 3.7/(5.0) 個人的 4.1/(5.0) |
「チェイサー」に引き続き、ハ・ジョンウとキム・ユンソクがメインキャストとして登場です。
善と悪が前回と入れ替わり、ハ・ジョンウのまともな姿と、キム・ユンソクの非情な姿を見ることができますw
中国で暮らす韓国系中国人のグナム(ハ・ジョンウ)は、妻を韓国へ出稼ぎに行かせるため、多額の借金を背負っており、タクシー運転手として働いたお金で、一攫千金を狙い麻雀に通うなど厳しい生活を送っています。出稼ぎにいった妻からの連絡は途絶えていました。
そんなある日裏社会のボス、ミョン(キム・ユンソク)に、請負殺人を持ちかけられ、借金チャラを約束にグナムは韓国へ向かいます。
韓国へ行くのも、はいどうぞ、いらっしゃい!という訳にもいかず、違法的なので、めちゃくちゃ酔いそうな船の中にすし詰め状態にされ、海に飛び込みさせられたり、何かと過酷(泣)想像するだけで酔いました。
韓国で殺害相手を見つけ、何度もシュミレーションし犯行の日をむかえますが、現場へ到着すると別の男たちが殺害相手を殺しにかかっているのです。
時すでに遅し。ミョンに指を持ち帰れと言われていたので、死体から指を切り取りますが、その様子を殺害相手の妻に目撃されてしまいます。殺してはいないのに、容疑者として追われる立場になってしまったグナム。同時にこの殺害の黒幕からも追われることになります。

そんな感じの話なんですが、この映画、何かと登場人物が多くて、誰が誰なのかまじで分からん!
誰と誰が何屋さんで、誰と誰が繋がってて、結局誰が悪いんや!!!ってなるw
必死に全てを繋げて(笑)ラストに突入。当然のように、胸痛ラストです。
そしてこの映画の登場人物が、まじで無敵なんですよね。グナムも、ミョン(キム・ヨンソク)も、殴られても、撃たれても、刺されても起き上がるww
ミョンの一派が戦う場面なんて、皆、斧持ってますからね。好きw
右手に刃渡り長い包丁、左手に斧の無敵スタイル。おじさんなのにかっこいいのよ。
極めつけは、どでかい肉の骨で頭かち割る…。
こちらでも、目をつぶりたくなるシーンはモノクロ加工がしてあるので、比較的見やすいと思います。
最後にどうしても言いたかったのが、グナム役のハ・ジョンウが、今回竹内涼真にしか見えないw
チェイサーでは高橋一生ぽいなと思ってたけど、今回は完全に六本木クラスの竹内涼真だ。こちらからは以上です。
哭声(コクソン)
原題 | 곡성(哭聲) |
上映(日本) | 2017年/156分 |
音楽 | チャン・ヨンギュ タルパラン |
撮影 | ホン・ギョンピョ |
出演 | クァク・ドウォン ファン・ジョンミン 國村隼 チョン・ウヒ |
評価 | Rotten Tomatoes 99% Filmarks 3.7/(5.0) 個人的 4.0/(5.0) |
谷城という田舎の村で、村人が家族を惨殺する事件がおきます。
容疑者はみな、何かに取り付かれたように暴れ叫び、皮膚に湿疹が見らており、毒キノコが原因ではないか?と発表されます。
しかし、毒キノコの摂取だけでは説明がつかない容疑者の様子から、どうやらある日本人と接点を持った事で呪われたのではないか?という説が浮かび上がってきます。

その日本人が、國村隼さん。本当に独特な雰囲気をお持ちの俳優さんですよね。
めちゃくちゃ奇妙な…はっきり言うと気持ち悪い役を熱演されています。裸にパンツ一丁で鹿の肉を貪るという悪魔になりきっておられますw
主人公ジョング(クァク・ドウォン)の娘が、容疑者と同じような症状を発症し、その悪魔を取り除こうと祈祷師に依頼します。この祈祷師イルグァン(ファン・ジョンミン)ですが、登場から胡散臭さがむんむんw
「女神の継承」を思い付くきっかけとなったのが、このイルグァンみたいですね。
祈祷する際の、音楽や踊りが嘘やん、ってくらいお祭り騒ぎで、呪いの深刻さとその踊りのギャップに違和感がありすぎてゾクッとするw
村人の変容は毒キノコによるものなのか、それとも國村さん演じる日本人の呪いなのか。
誰が身方で誰が敵なのか。後半、一気に畳みかけてくる真実に頭がパンクしそうになるんですけど、パンクして終了しましたw 結論、真実は空中に浮いたままでございます。
まとめ
今回は、紹介のような形でまとめたのと、1回観たくらいじゃガチ考察はできないと察しましたw
また、あと1回ずつくらいみたら、それぞれの詳しい考察記事を作りたいな、と思っている所であります。
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